物件を購入した場合、必ず加入しておくべきなのが火災保険への加入です。物件の引き渡しまでに加入する内容を検討し、引渡し日には保険に加入している状態にしておくべきでしょう。殆どの方は保険の詳しい内容については、担当者に言われるがままに加入をしているのではないでしょうか。不動産会社の方から勧められた場合は、不動産会社の担当者も詳しい内容は把握せずに保険を勧められているのが実情でしょう。保険の加入については不動産会社の方から勧められても必ず保険に詳しい方に内容を確認してもらうようにすることをお勧めします。保険に詳しい不動産会社の担当者はほぼいないと思っていた方が無難です。自分の財産は自分で守るという意識を強く持ち他人任せにはしてはいけません。どのような保険に加入したらいいかは、物件ごとに違ってきますが、大変数多くの火災保険請求事案の詳細を踏まえた上で、一般的に保険加入時に抑えておくべきポイントをご紹介します。
①火災保険料は必要経費、保険料をケチるのは厳禁!
火災保険に加入する際に絶対してはいけないのは保険料をなるべく安くして、必要最低限の補償でいいという考え方です。保険に何故加入するのかということを考えたときに、火災や地震、台風等の災害に備えるためであり、いざそのような災害に遭遇した時に満足のいく補償が得られないのであればいくら保険料が安くても加入している意味が無くなってしまいます。火災保険には特約が多数あり、加入内容によっては保険料が何割かUPしてしまいますが、万一の災害の際に多少の保険料を節約したことで受け取ることの出来る保険金に大きな差が生じます。火災保険料は必要経費と割り切って保険料が高くなっても出来るだけ手厚い補償で加入するべきです。
②地震保険への加入
地震保険は基本的に住居系の物件に加入出来る保険です。事業系の物件の場合は加入するには様々な制約があり、個別の申請や計算等が必要となることも多いため、ここでは地震保険が加入出来る一棟アパマンの場合に地震保険の加入をどう考えるかをご説明します。地震保険は火災保険の基本保険金額の50%まで加入出来ますので、例えば1億円の保険金額で火災保険の加入をする場合は地震保険の上限は5,000万円になります。下限は30%からなのでこの場合は3,000万円から5,000万円までの加入となります。
それでは場合に地震保険の保険金額をどうするべきかということですが、迷わず上限金額の5,000万円での加入をお勧めします。日本国内で建物の管理上備えておかなればならないのは台風と地震の被害です。火災事故に遇う確率は極めて低い為、極論を言えば台風と地震に備えるために火災保険に加入をすると言ってもいいかもしれません。地震保険に加入せずにアパマンを所有しているというのは日本ではリスク管理上有り得ない話です。地震保険に加入出来るのであれば必ず地震保険には加入をしておくべきでしょう。
③事故時諸費用特約(臨時費用特約)の限度額について
保険会社によって多少の名称の違いや商品内容の違いはあるかもしれませんが、火災保険には通常事故時諸費用保険金(以前は臨時費用保険金と呼ばれていました)が支払われる特約が付帯されます。昔は一律30%のでしたが、最近は10%、20%、30%等選択出来るように商品改定されています。事故時諸費用保険金には限度がありますが、例えば30%の支払の特約に加入をしていた場合、保険金支払額が100万円の事故が有った際はそれにプラスして30万円が支払われるため、合計で130万円が支払われることとなります。
これが10%支払いの特約の際は110万円です。保険金の支払額と実際に修理業者に支払う額は必ずしも一致しませんが、仮に保険金の支払額と見積額が一致した場合は諸費用保険金がそのまま手元に残るようになります。この特約の保険料は10%の場合と30%の場合でさほどの違いは無く、多少の保険料の差で受け取り保険金は大きく異なってきます。火災保険に加入する場合は迷わず事故時諸費用特約は限度額上限で加入をされることをお勧めします。
④保険料の支払方法でお勧めは長期契約の年払い
火災保険に加入する場合は保険期間と保険料の支払方法を決めなければなりません。保険料が一番安くなるのは保険期間を5年や10年などの長期契約にして一括払いにすることですが、この場合は契約時にかなりまとまった保険料が必要となります。加入時の保険料負担をそれほど大きくすることなく多少の保険料のお得感を出す場合は保険期間は5年間等の長期契約として支払いは1年毎の年払いにすることです。この場合は1年契約の時と比べ若干の保険料割引が有ります(保険会社によって長期契約で年払いに出来る期間は異なる場合があります)。
ここで気になるのが長期契約年払いとして途中で解約した場合はペナルティーで保険料の返還で不利益を被るのではないかという心配ですが、そこも問題ありません。通常の1年払いと同じ条件での解約が可能です。但し長期一括払いの場合は保険料の割引が大きいため、中途解約の場合は保険料の返還が保険期間の経過日数に比べ減額されますので、注意が必要です。中途解約する可能性がある場合は長期契約の一括払いはお勧めできません。
⑤まとめ
火災保険は商品内容も頻繁にがあり、保険金の計算方法も複雑ですので、とても不動産会社の担当者が満足のいくレベルの説明が出来るものではありません。保険加入時は必ず保険に詳しい代理店等にお問い合わせをされることをお勧めします。物件を多数保有するようになると5年程度のサイクルで考えた場合に台風等の被害に遇うことはかなりの確率で生じてきますので、いざという時に満足のいく補償が得られるように手厚い補償を受けられる保険に加入されることをお勧めします。