区分所有物件では殆どの場合「管理規約」があります。小規模の建物で自主管理の場合でも管理規約が定めてある方が一般的です。万一管理規約が無い建物を購入する場合は事前にマンション管理の専門家に相談をされるのがいいでしょう。何か建物の管理上で問題が生じた場合は全て区分所有者の話し合いで決まるので、マンション管理の知識で自信の無い方は購入を見送るのが賢明だと思います。さて、管理規約は通常数十ページにも及ぶものなので、殆どの方がさらっと目を通す位ではないでしょうか。管理規約の雛形は区分所有法並びに国土交通省の指針に沿って作られるので骨格となる部分はどの管理規約でも似たような感じになります。そのため、一字一句確認をするようなことまでする必要はありません。そこでいくつか確認しておいた方がいいポイントをお伝えします。
①専有部分の用途
普通のマンションであれば専有部分は「住居に限る」という記載になっていることが殆どですが、事業系の物件の場合は具体的な使用方法が記載されている場合が有ります。「事務所に限る」という場合は店舗使用は不可となります。飲食店が出来るかどうかも記載されていることが有ります。ここでよくあるケースが「入居者に迷惑がかかるような営業を行わない」「環境を損なうようなことをしない」というようなあいまいな表現で記載されているケースがあります。特に築年数が古い建物の場合は規約もアバウトで細かい規定がされていないことが多いように思われます。
このように業種等の制限がアバウトな場合は、入居時に当該業種の利用が可能かどうかを管理組合にその都度確認をすることとなりますが、その場合はその時の理事長の考えに大きく左右されるので、建物の管理上問題が生じてしまう可能性も出てきます。この様な場合は管理会社と相談し、事業系の専有部分の使用方法を明確に規約で定めるように管理規約の改定を総会で審議するようにした方がいいでしょう。
②使用細則
使用細則が定められている場合は細部も含め入念に確認することをお勧めします。ペットの飼育や楽器の演奏等について規約ではなく細則で定められている場合があります。ペットを飼育可能な場合も頭数や大きさが決まっていることが多く、楽器演奏が可能な場合も演奏時間の制限が有る場合が殆どです。
その他にもゴミ出しのルールや専有部やバルコニー等の共用部における禁止事項、リフォームをする場合の仕様や申請方法等、専有部の使用方法について詳しく説明がされていますので、最も注意をすべき部分になります。
③費用負担について
管理費・修繕積立金がどのように決められているのか確認が必要です。居住用のマンションであれば専有面積の割合で殆どが決められているのでさほど注意をすることもありませんが、事業系の区分建物の場合は専有面積で単純に決まっていないケースも多く、専有面積比がどのようになっているか計算をしてみることをお勧めします。計算した結果、明らかに専有面積比割高となっている場合はその理由を管理会社に確認し、その理由如何によっては引下げ交渉をしてみるのもいいかもしれません。
例えば飲食店を営業しているような場合は、それ相応の建物の管理体制も必要となってくるので多少割高になってしまうのもやむを得ないかもしれませんが、事務所専用の物件であるにも関わらず相当程度割高となっている場合も少なく無いので注意が必要です。
④雑則
この部分は建物固有の決まり事を定めている箇所なので一読されることをお勧めします。管理規約に違反した区分所有者に対しどのように対処されるかが記載されていることも多く有ります。雑則の部分で使用細則で記載されるべき点が補足されている場合もよく見受けられますので、目を通すべきところです。
⑤役員
役員の任期や選任方法、人数等が定められています。一般のマンションでは役員は輪番制になっているケースが多くなっていますが、管理規約上ではそのような輪番制とするという記載がされているケースは少ない為、実態と管理規約で役員の選任方法や任期等がどのような違いがあるか確認をしておいた方がいいでしょう。
一般的な傾向としては役員のなり手が少なく、輪番で回ってくる役員を仕方なく請け負っているというケースが多いようですが、これでは管理組合が形骸化されてしまい、管理会社の一存で殆どの決め事が決まってしまうようになってしまいますので、区分所有者の多くの方がより積極的に役員に就任し、建物の管理の面で自らの考えを発信するようにすべきでしょう。反対にあまりにも理事長が独裁的で長年にわたり建物を私物化してしまっているようなケースも少なからず見受けられます。このような場合は役員の任期をより厳密にして再任の場合の任期を制限するような規約に変更することも一つの方法です。