物件購入時にかかる諸費用について知っておきたいポイントをお伝えします。このポイントを知っておくことで少しは諸費用を抑えることが出来るかもしれません。①仲介手数料
物件購入を仲介した業者へ支払う手数料です。この上限額は宅建業法で定められていますので、基本的にはどの仲介業者から物件を購入しても仲介手数料の上限はおなじです。計算方法は下記の通りとなります。
【物件価格(消費税を除く)×3%+6万円】+消費税
※物件価格が400万円以下の場合は上記計算式は使用出来ません。
《計算例》
物件価格5,000万円
(内訳)土地2,800万円+建物2,200万円(その内消費税200万円)
この場合は手数料を計算する上での物件価格は4800万円となります。土地には消費税が課税されない為、土地代金と消費税を除いた建物代金が計算の基礎です。
(4,800万円×3%+6万円)×1.10=1,650,000円
※2020年5月現在の消費税率で計算しています。
ここで注意をするポイントは消費税には仲介手数料はかからないという点です。
但し、個人が自分の住んでいる住宅を売るような場合は営業に関連する売買では無いため消費税が課税されず「物件価格=手数料を計算する基礎となる価格」となります。法人が所有する事業用物件の場合は免税事業者以外は消費税が課税されますのでご注意下さい。
②登記費用
登記費用は大きく分けて司法書士に支払う報酬(手数料)と登録免許税の2種類が有ります。登録免許税は物件の評価額に対して計算されるものですので、どの司法書士が担当しても同じになります。また物件購入の際に融資を受ける場合は抵当権の設定が必要となり、抵当権の設定に対し登録免許税と司法書士の手数料がかかりますので、現金で購入する場合に比べ登記費用は高額になります。
登記費用で差が生じるのは司法書士に支払う報酬です。この部分は宅建業者に対する仲介手数料の様な法律による決まりが無く、各司法書士が自由に定めています。そうは言っても司法書士業界も競争が激しい為法外な手数料を請求する方は殆どいませんが、不動産取引の現場では司法書士によって報酬額には開きがあることが実感されますので、登記費用の請求が来た場合は物件購入を担当する仲介業者に相場と比べ妥当な請求額か問い合わせをされることをお勧めします。
しかし、不動産取引の現場では買主側が自由に司法書士を決めることが出来ない場合も多く、融資を受けて購入をする場合はその銀行が指定する司法書士が担当する場合が多くあります。銀行が司法書士を指定する場合はほぼそれに従うしかなく(適当かどうかは別として)、応じなければ融資が出来ないと言われてしまうことが殆どです。ここで問題となるのが一般的には銀行の指定する司法書士の報酬額が相場に比べ高額になる傾向にあるということです。司法書士からすれば相見積もりの恐れが無いため、報酬を安くする必要がありません。そのため稀にですが、相場比かなり割高な報酬が請求される場合もあります。
このような場合の対処方法としては、抵当権の設定と、所有権の移転の処理を別々の司法書士に依頼することで数万円程度報酬が安くなることもありますので、覚えておいて損は無いやり方です。銀行が司法書士を指定する理由は抵当権を間違いなく設定されるようにするため、既取引の司法書士にお願いしたいという理由からです。そのため抵当権の設定自体は銀行指定の司法書士に依頼するしか無くなってしまいますが、所有権の移転登記までは銀行指定の司法書士で行わなくてもいいようにはなっているので、一つの取引で2名の司法書士に担当してもらうことで登記費用の節約が出来る場合が有ります。まずは登記費用の請求が来た段階で仲介業者に相談をされるのがいいでしょう。
③固定資産税・都市計画税の清算
不動産の取引では決済時(引き渡し時)に年間の固定資産税等に対し、日割りで年間の費用を清算するのが一般的になっています。この税金は1月1日時点で不動産を所有している方に対し課税がされます。そのため首都圏における不動産取引では固定資産税等を清算する起算日を1月1日とするケースが多いですが、地域によっては役所の年度変わりの時期である4月1日を起算日とする場合もあるようです。
《計算例》
固定資産税額(1年分) 120,000円
引き渡し時期 5月1日
◆売主側負担額(1月1日~4月30日までの120日分)
120,000円×120日/365日=39,452円
◆買主側負担額(5月1日~12月31日までの245日分)
120,000円×245日/365日=80,548円
◇合計額 39,452円+80,548円=120,000円
※円単位以下四捨五入をしています
④管理費・修繕積立金等(区分所有建物の場合)
区分所有建物の場合は殆どの物件が管理費等の支払を毎月行っていますので、毎月の管理費等の支払額を1か月単位で日割り計算で精算します。
《計算例》
管理費等(1ヶ月分) 31,000円
引き渡し時期 5月11日
◆売主側負担額(5月1日~5月10日までの10日分)
31,000円×10日/31日=10,000円
◆買主側負担額(5月11日~5月31日までの21日分)
31,000円×21日/31日=21,000円
◇合計額 10,000円+21,000円=31,000円
管理費等の支払のタイミングは通常翌月分を当月末日までに支払いという場合が多い為、実際の決算時には翌月分を既に売主側が支払っているケースも多く、その場合は決算時の清算では上記金額に1ヶ月分を上乗せして買主側が支払うこととなります。