一棟物ではない区分所有物件の購入を検討する際に最低限確認しておく資料は何でしょうか?現地確認は当然済ませているという前提です。もちろん契約時には仲介会社が取得出来る公的な資料は殆ど用意をされているはずですが、物件購入の申し込み段階では①登記簿謄本②マンション管理会社(自主管理であれば管理組合)が発行する重要事項調査報告書、この2点を確認しておけばほぼ問題ありません。その他の資料としては公図や平面図、地積測量図、評価証明、道路台帳、水道管埋設図、ガス管埋設図、管理規約等多岐にわたりますが、これらの資料は契約時に確認すればいいでしょう。基本的には区分所有物件は大規模建物になるため建築基準法に違反しているというケースは稀であり、境界で争いが有るというケースもあまり例が有りません。
そのため、一棟物に比べると事前に確認しておきたい資料は少なくて済みます。購入判断をするために上記2点の資料で確認すべき点をご案内します。
①登記簿謄本
事業系の区分建物の場合にまず謄本を見て確認すべきところは「種類」です。ここが事務所となっていると原則的には店舗使用が制限されます。管理規約にもよりますが通常では不特定多数の人が来店する店舗使用は出来ません。たまに倉庫、駐車場、などと記載されていることがあり、実態と違った種類は記載されていることがあるため確認が必要です。
ポータルサイトの広告の情報が必ずしも正しいとは限らず、募集広告では「店舗」となっているのにもかかわらず、謄本を見ると「事務所」であったり「倉庫」であったりすることがあります。このように実態と違った種類が記載されている時に問題なのが融資審査で支障が出てくることです。現状は店舗形態だけれども謄本上は「駐車場」だったりする場合は融資が受けられない可能性が高くなります。
次に床面積を確認します。不動産の募集広告上では床面積を「壁芯」基準で記載することが認められており、その場合は登記簿謄本の「内法」基準の面積より広くなります。マンションの広告では殆どが壁芯基準で床面積が記載されているものと考えていいでしょう。内法基準の面積は実際に占有者が使用可能な面積ですので、こちらの方が机や棚、椅子等の配置を決める際に必要となる有効面積が記載されています。この壁芯面積と内法面積の差が大きいと内見した際に違和感が生じる事が多々あるので、広告上の面積との差には注意が必要です。ただ、事業系の物件の広告ではマンションの売買と違い内法基準で広告を記載しているケースも非常に多いので、広告上の面積と謄本上の面積が同じ場合もよくあります。
②重要事項調査報告書
この書面は購入判断をする際に非常に重要な情報が記載されていますので、区分建物を購入する際は最も重要な書面であると言えます。この書面と登記簿謄本さえあれば区分建物の購入判断は概ね可能になります。この書面には管理費、修繕積立金の額、滞納額、変更の予定、管理状況、修繕履歴、長期修繕計画等が記載されておりますので、建物全体の価値を検証する上で必要となる情報のかなりの部分を網羅しています。書面の取得には数千円程度の費用がかかりますが、その費用は通常仲介業者が負担していますので、お客さまが負担をされることはありません。
この書面で修繕積立金の総額や滞納額等の建物の財政状況を確認出来、長期修繕計画等も作成をされていれば確認出来ますので、事前に閲覧されることを強くお勧めします。オーナーチェンジ物件の場合はこれに加え賃貸契約内容が事前に分かれば問題無いでしょう。管理規約は契約の際に用意されることが殆どなので事前の閲覧は難しいと思われますが、気になる点があれば仲介業者に質問をされればいいでしょう。管理規約に記載がされている項目に関しては回答がされると思われます。